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知り合いが増えるって 心強いよね 日常にスパイスを加えたいなら七味唐辛子でもいれてみればイイんじゃね?肌とかに 数日後。 何だかんだで就職は居酒屋に決定。 面接に行ったところ、サクッと決まってしまった。 どうやら万事屋にお世話になったらしい。 今の居住地を言えば快く快諾してくれた。 どちらかというと、スナックお登勢の名前を出しただけで、というべきだろうか。 話からして、お登勢はここらで素晴らしい権力の持ち主らしい。 「何だィ、そこで働くのかィ?ここで働いたってイイだろうに」 「イヤァ、スナックに男が働いたってどうしようもないじゃないですか」 「そうかィ?そんなことは無いと思うけどねェ。アンタ結構働き者だから、こっちは助かってたからさァ」 「だったらその分、家賃下げろクソババア」 「お前が言えることじゃないだろうがァァ銀時!」 月よりもネオンが地を照らす夜。 バイトの報告をしに、早速階下のスナックお登勢へとやってきていた。 ついでに万事屋のメンバーと一緒に晩御飯をご馳走になっている。 といっても、皆御飯が食べ終わり、それでもガツガツ食べているのは神楽で、銀時はお酒を嗜む程度だが。 「だってそうだろォ?何だって一銭にもならない仕事を手伝ってんだよコイツは。礼として今月の家賃無料とかそういうサービスねェとダメだろうが」 「それ結局得すんの銀さんじゃないですか」 「アンタを追いだして、あの二階はに使ってもらおうかねェ。礼儀もしっかりしてるし、役に立つし。家賃も払うだろうし」 「ソウデスヨ、オ登勢サーン。コノ天然ぱーまハイラナイデース」 「お前が一番いらないわァァァ!!」 「アハハハ!」 銀時とキャサリンが臨戦態勢に入る中、はケラケラと笑い飛ばした。 そして洗った食器を拭いて棚へと置く。 銀時のとこにお世話になってからほぼ毎日手伝っているからこそ、もはや従業員並に動く。 ときどきお酒をチビチビと飲むのは仕様だ。 「依頼だか何だか知らないけど、、アンタこんなんでイイのかい?良いように使われてるだけじゃないのかィ?」 「そうですよさん。僕が言うのも何ですけど、何かこっちが悪い気がします。家賃だけじゃなく家事まで…」 「アハハ!そんなことないよ〜」 割に合わないんではないか、と二人が溜息を混ぜながら言葉を発する。 しかしにとってはどこ吹く風。 「ホームレス生活から逃れられたし、毎日楽しいし。幸せだしさ」 「〜おかわりヨ〜」 そう笑顔で言われたらどうしようもない。 二人が黙って溜息をつくと同時に、神楽はに抱きついた。 どうやら抱きつき癖がついてるらしい。 同時には衝撃を受け取ることになるのだが、それもまた慣れたのだろう。 何かを戻しそうになりながら笑顔で耐えるそれも日常だ。 「…ところではどうして江戸なんかに来たんだィ?流浪だとか何だとかってのは聞いたけど、目的くらいあるんだろ?」 思い出したようなお登勢からの質問。 そういえば、その話を銀時にもしていない気がする。 神楽の頭を撫でて御飯をよそいつつ、も思い出したように口を開いた。 「あ〜。友達探してるんです。昔お世話になったし、色んな報告兼ねて」 「江戸にいるんですか?」 「うん」 新八の言葉に頷いて、はふんわりと微笑んだ。 噂やらテレビやらで取り上げられていたから知っている。 ここに彼がいることを。 どうやら大活躍らしいが、話だけしか聞かない。 直接会って、話したい。 それだけなのだ。 「へぇ、だったらなんで江戸に直接来れなかったんだィ」 「俺、地上最強の方向音痴ですから。エヘン」 「そこ威張るとこじゃないですよ!」 「それに若いうちに流浪しといた方がいいかなって」 「それ適当に理由つけたでしょォォ!?」 ツッコミを受けつつ、はヘラヘラと笑った。 これらの理由も間違ってはいない。 何度迷ったあげく、流浪も経験だと自分を元気づけたことか。 でも、それが主な理由ではない。 江戸につくまでに流浪していたのは。 真っ直ぐにここに来れなかったのは自分の気持ちを静めるため。 旅に出る前に起きた事件の、気持ちを整理したかったため。 あのままの状態を保っていたら。 きっと。 笑えなかった 感情などない人形のように 世界を 何も思わずに眺めていた 自分を 見失ってた 「友達探すにも、拠点がないと探せないし。そしたら奇跡的に銀時と会えるなんて思ってなかったし。人生分からないもんですね」 適当に江戸に滞在して。 適当にバイトして金稼いで。 一人で、友である彼を探すつもりでいた。 それが、何かの縁で銀時と再会できて。 無理やり依頼を飲みこませて、今に至る。 「そして、銀時に会えたから、神楽ちゃんや新八、お登勢さんやキャサリンさん、長谷川さん、真選組の人たちに会えた」 一人の懐かしい友人に会えたと思ったら。 そこから広がる世界。 「だから、逆に感謝してるんです。目的が果たせるまでの短期間であっても、幸せに過ごせてるから」 一人の世界に。 新しく開かれた世界。 銀時の幸せを見るつもりで、いつの間にか自分も幸せに感じていた。 きっと、依頼はすぐ終了するだろう。 江戸は狭い。 彼には、きっとすぐ会える。 それが終われば、また江戸を旅立とうと思っている。 ここは彼らの場所であって。 自分がいるべき場所ではないから。 それでも。 短い時間でも ここで幸せを感じられることに 「いい加減にしろォォ!可愛くねェんだよ猫耳つけても可愛くねェんだよ!マリモッ○リ可愛いとか言ってるもんだよ!どこがイイんだ、あんなの!」 「キモ可愛イッテ言葉ガアルダロウガァァ!!」 こちらの会話が全く聞こえていないだろう銀時とキャサリンがお互いに髪を引っ張り合って言い合い。 殴り合いにも発展しそうになっているが、誰も助け舟は出さない。 逆にはケラケラと笑った。 「それに、毎日面白いし楽しいですし。皆に感謝感謝、ですよ」 幸せってそんなものだ。 何だかんだで、一番近くにある。 誰かの幸せの、傍に。 「美男美女に囲まれてますしね〜」 「さん、ほんと目悪いですよね。僕より目が悪いですよね」 「…アンタも損な性格だねェ」 今まで黙っていた二人が美男美女のところでツッコミに回る。 しかも呆れまで入って。 ちなみに神楽はいつの間にかまた、御飯に夢中になっていた。 「でも、さんがそう言ってくれて嬉しいです。僕もさんに会えたし」 「アハハ!ツッコミ大変だろうけどな〜」 「分かってんなら自重してくださいよ!何!ワザとなの!?」 「いやいや、ワザとじゃないよ〜。設定上しょうがないよ」 「設定言うなァァ!」 「アハハ!」 笑いながら、はグラスに入った透明な液体をクイッと飲み干した。 苦いそれは、喉に小さな痛みを残して体を火照らせる。 魔法の、水。 昔は苦手だったお酒。 今ではこんなに飲めるようになった(未成年だけど)。 これが、身体的成長だというのなら。 まだ精神は、子供のまま。 「あ、お登勢さん。手伝うことがあったら言ってくださいね。空いてる時間があったら手伝いますから」 どんなに短期間でも。 この絆を繋いでおきたいと思ってる。 自分のではない、銀時の絆であるのを分かっていながら。 頑張って自分と繋げようとしてる バカな子供 「ああ、じゃあそうさせてもらうよ」 「はい」 紫煙を吐き出す、お登勢に微笑んで。 はまた自分のグラスにお酒を付け足した。 その液体に映るのは自嘲的な自分の笑み。 誰も気づかない、笑み。 「!アンタカラモ言ッテヤッテヨ!私ガドレダケ可愛イカ!!」 「馬鹿ですかァァ!ソイツは目も頭も悪いからお前の汚い面がインプットされないだけですゥゥ!ソイツに逃げたってお前のキモさは変わらないんだボケェェェ!!」 「銀さんさすがにそれ言い過ぎですよ」 「〜、またおかわりヨ」 「お前はどんだけ食べるつもりだィ、チャイナァァ!!」 ギャイギャイと騒ぎ出すスナック内。 人はきっとそれを、やかましいとか思うのだろう。 彼ら以外人がいないスナック。 はただ微笑んでいた。 自分の場所ではなく、銀時の場所であるそこを。 |