の表情が歪む。
一人の名前に。
先程までは、笑っていたのに。

ガッシュはそんな面持ちをじっと心配そうに見つめる。



「………?」




目の前にいる清麿と同じ服を纏った、今知り合ったばかりの清麿のクラスメートの名前を呼ぶ。

銀の髪と紅の瞳。
日本に来てから初めて見る、色を持つヒト。

不思議と親近感が湧いた。
何故かは分からない。
けれど、初めて会った気はしなかった。

そして、教室についてから感じたことがある。


に対する空気と清麿に対する空気。

二人の瞳。

心。



(同じ、なのだ)


教室の中を飛び交う、冷たい言の葉たち。
冷たい視線。
見ているようで見ていないような、億劫な瞳。

空っぽの心。


(清麿と、似ていると感じた……)


清麿が非難されているときに、は笑うことはなかった。
怒ることもなく、周りと同じように非難するわけでもなく。
ただ、自分が非難されているかのように、辛そうに。

苦しそうに顔を歪めていた。


(彼、なら)


ガッシュはを見つけた。
もガッシュを見つけた。


(彼なら、清麿と友達になってくれるかもしれぬ)


は自分を連れ出して、話したいと思っていたと言ってくれた。
話を、聞いてくれると思った。

だが。



「……清麿が嫌い、なのか?」



の表情。

それが、この答えを導いている気がした。
ガッシュの顔も、歪む。


は目を見開いた。
ガッシュからそんな言葉が出るとは思わなかったのだろう。



「…違うよ」



は苦笑する。
ガッシュは俯いていた顔を、静かにあげた。
金色と、紅が混じる。



「き……高嶺のこと、嫌いじゃない」


「ならば!!ならば清麿と友達になってくれぬか!!?清麿はな、皆が言うようなイヤミな者ではないのだ!!」


「あぁ、知ってる……高嶺が、凄くイイ奴だって知ってるよ……けど…………ごめんよ、ダメなんだ…俺じゃ」


「なっ!!?」



何故なのだ!!?とガッシュはつい叫んでしまった。

は清麿のことを嫌いではない。
凄くイイ奴だということを知っていると、言った。

それなのに。


自分ではダメだと言う。



「何故……?」



ガッシュの不安そうな表情と、言葉。

は彼の前で、苦しそうに笑うことしかできなかった。



「私は……なら……」



清麿を差別しないと感じた。
仲良くなれると思えた。
同じ心を感じるから。


何よりも、惹かれるモノがあるから。



「……ガッシュ、知ってるか?高嶺が……あそこまで皆に嫌われている理由を」



男子としては少し高めの、アルト。
の、先程よりも低い声がガッシュの耳に届く。
表情は、俯いているので読めない。
銀色の綺麗な髪が、柔らかな風に静かに靡くだけだ。


の声に不安が、よぎる。



「ウ、ウヌ……母上殿から聞いておるが……」


「…そっか」



悲しく、が笑った気がした。



「…昔話を、しようか」



温かいはずの風が、冷たく感じた。













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