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授業が終わり、は教室へと戻りガッシュをまたボストンバッグに入れて、元の位置に戻した。 清麿のすぐ、横を通る。 彼はを見るわけもなく、ただただ赤い本を読んでいた。 その横にはシャープペンシルと、何かを計算した、もしくは解読しようとした跡があるノート。 は、誰にも気付かれないように小さく微笑んで、その場を離れた。 その後、まるで何事もなかったかのようには午前中の授業を受けていた。 いつもと変わらない風景。 けれど、はいつもより穏やかな気持ちだった。 あのバッグに入っている少年の…ガッシュのお陰だとときどき心の中で微笑む。 そして淡々と時間は過ぎ、今は放課後。 は屋上の入り口のすぐ上、そう、屋根の上に寝転がっていた。 紅い瞳には雲が青い空をゆったりと風にのって流れている景色が広がっている。 涼しい風が、銀髪を揺らす。 今、がここにいるのには、訳があった。 昼休み。 高嶺清麿がふいに立ち上がり、鞄を持ってさっさと廊下へと出て行く。 珍しくもない光景。 彼は登校する日、ほとんど早退する。 そのことに気付いたのは三人。 水野スズメと鞄の中のガッシュ、そして自分の席で静かに購買のパンを食べていた。 スズメはすぐに清麿を追いかけた。 その後にガッシュが鞄から手足と頭を出して懸命に追いかける。 はその光景をただ、眺めていた。 本当はすぐにでも追いかけたい。 けれど、そんな立場ではない。 静かに立ち上がり、何事もないかのように廊下側の壁に寄りかかった。 廊下の声に聞き耳を立てる。 帰ろうとしている清麿を呼び止めるスズメ。 反抗する清麿。 それを窘めるガッシュ。 そして、ガッシュの出現に驚くギャラリー。 はギャラリーの声に導かれたかのように廊下に出た。 これなら自然な理由だ。 目に映ったのは、ガッシュの出現に動揺する清麿とスズメ。 肝心のガッシュは背が小さいせいか、ギャラリーに埋もれて見えない。 「ちょっと来い!!」 清麿は鞄ごと、ガッシュを連れ去って行く。 ガッシュが怒られるのだろうか。 何となくその後姿が気になって、は人目も気にせずに後を追いかけた。 後ろからすずめが驚いて自分を制止する声が聞こえたが、足は無意識に動いていく。 辿り着いたのは焼却炉の前。 二人が話しているのを見つけ、すぐに建物の影に隠れて耳をすませた。 聞こえてきたのは、『せいぎのみかた作戦』の内容。 清麿が不良を倒して、からまれていた人を助けて友達になろう、というものらしい。 勿論、ガッシュの提案である。 嫌そうに否定する清麿。 その証拠に「どうやって都合良く不良にからまれている人を探すのか」と尤もなことを口にした。 しかし、すぐに思いついたのか、こう言った。 『毎日のように屋上にカモを呼びだして、カツアゲをやっている金山って奴がいる』 そして。 『オレは職員室に用があるから少し遅れて行くが…奴がいたらオレが行くまで足止めしてほしい』 そんな会話を聞いていた。 本来ならば、が関わることではない。 関わることが、できない。 だが…。 (ガッシュや清麿が…もし金山にやられて大怪我でもしたら…) は金山を知っていた。 どんな人間かも、どうしてカツアゲしているかも。 どれだけ、強いのかも。 二人の怪我を思うと、いてもたってもいられない。 は放課後になった途端にここに移動していた。 金山の後に来てしまったらその「作戦」が消えてしまう。 また、先に来ても隠れなければ、これまた意味がなくなってしまう。 は目を固く閉じた。 (今回だけは……) 本当ならば、関わってはいけないこと。 ましてや、自分という人間は。 彼を傷つけ貶めた人間だ。 (もう……最後だから………) 自分に言い聞かせる。 それは叫びにも似た感情。 |