|
ご飯がすめばどうしようと それぞれの勝手 お洗濯をする日が雨だと、部屋中湿っぽいのでせめて自分だけはカラカラになろう! 題名とは全く関係なく、外では綺麗な青空が広がっている。 洗濯日和だ。 洗濯機で洗った衣服をカゴに入れてベランダへと足を踏み出す。 柔らかく、優しい風が頬を撫でる。 良い天気だからこそ、微笑みとのびは忘れちゃいけない。 「うー…いい天気だ〜!」 外はやはり気持ちがいい。 一つ大きく深呼吸して、物干し竿を立てかける。 その緑が綺麗に映えるのを見ながら、洗濯物とハンガーを手に取り始めた。 ちなみに部屋の中ではテレビを見ながらグータラしている人物二人。 新八は掃除をし始めていた。 「新八〜掃除しなくてもいいよ?俺の仕事だしさ〜」 「いえ、今日も特にやることないんで、これぐらいさせてください」 「あははは真面目なんだから〜」 というのも、今日の万事屋に依頼は来ていないからだ。 だからこそ暇を持て余している。 ゆっくりとテレビを見て過ごすこのときの万事屋は祝日の家族のよう。 はクツクツと笑いながら、着物をさっさと干し始めた。 はためく着物。 太陽の光がそれをやさしく照らし、温めてくれる。 風に、洗剤の香りが乗る。 次々と干していく中、は思い出したかのように「あ」と声をあげて。 自分の後ろにある部屋を掃除している新八に声をかけた。 「新八、掃除の基本は適当だからな〜?奥深くまで掃除しちゃだめだよ〜?」 「え、なんでですか?」 「見られたくないものがあるかもしんないだろ〜?」 「え」 新八の驚きの声に、はケラケラと笑いながら洗濯物を干していく。 時折皺を伸ばすためにパンパンと衣服をたたく。 そして、のんびりと言葉の続きを口にした。 「銀時だって男なんだし、エロDVDとか隠してるだろうしさ〜。それ見つけたら、何気なく気まずくなるからな〜」 「え、さん見つけちゃったんですか!?ここで見つけちゃったんですか!?」 「いんや〜?見つけてないよ?押入れの中の天井に同じ色の封筒がバレないように張り付けてあったことなんて知らねーよ?やっぱSM派か、とか思ってねーよ?」 「知ってるんじゃないですかァァァ!!!しかも内容も分かってるじゃないですかァァァ!!」 全力のツッコミを聞きつつ、はケラケラと笑うばかり。 と、いっても見つけたのは事故のようなもの。 (散らかってるものを片付けようと思ったら、そこにあった) (あったので、覗き込んだだけだ) (そこに山があったから登った、みたいな) 今更言われても、過去には戻れないのだからしょうがない。 ちなみに、それは銀時に知られてはいない。 しっかり戻しておいたのだから、気付いてはいないだろう。 この会話も聞こえてないようで、銀時はソファに寝転がってテレビに夢中だ。 神楽も定春に構っているため、聞こえていない。 それを確認しつつ、は再び口を開いた。 「アハハハ男だもん、しょうがねーよ。アレ、男にとってはマニュアルだから。人生の。あれ?マニュアル?マグナム?」 「マニュアルであってますけど!マグナムだったら違う意味ィィ!」 「あ、よかった〜。とにかく新八もムラムラしたいときがあったら借りればいいよ。男ってそんなもんだから」 「アンタに男の何が分かるんだァァァ!」 「俺男だもーん」 「…あっそうですか」 先程まで思いきりツッコんでいた新八だが、の男ネタには飽きたらしい。 若干冷たい視線と声で溜息交じりだ。 しかしは屈することなく、またケラケラと笑って洗濯物を干していく。 「昔はよくわかんなかったけどさ〜」 「昔?」 「そ、昔」 パンッという大きな音で皺を伸ばす。 灰色の着物が青空の下で揺れる。 隣には神楽の赤いチャイナ服、その隣には銀時の白い着流し。 そしてその隣では新八の袴も揺れていた。 (…アハハ、ほんと昔みたいだ) 昔、の言葉に反応した新八が首を傾げる中、は並ぶ洗濯物を見て小さく微笑んだ。 時代も色も服も違うが、青空の下に並んで干す。 それだけは、変わらない気がして。 「攘夷戦争のときなんか、適当に掃除してたらあるわあるわ、男の勲章。驚いたな〜あんときは」 「ま、マジですか」 「あはははマジマジ。最初何が何だか分からなくて、うっかり再生したら画面の中でアンアンだよ。あ、間違った。ニャンニャンだった」 「意味は同じィィィ!!」 「あははは懐かしいな〜」 洗濯物を入れていたカゴは空っぽ。 全部干し終えて、は満足そうに笑った。 過去、物干し竿に揺れていたのは、戦場でこびりついた赤黒いそれを落とした沢山のボロボロの着物。 汗臭く、男臭いボロボロの、元寺子屋。 生と死の境目のような場所。 そんな瀬戸際にいたからこそあった、生きる喜び。 己の信念への執着。 そして、絆。 カラカラとベランダを閉めて、洗濯物完了。 後は夕方に取り込めば良し。 部屋の中で男の勲章について聞いてしまっていた新八は掃除道具を片手に持ったまま、どうしたらいいのか分からずに止まっている。 その手からハタキを奪い取って、はそれでそこらの埃を落とし始めた。 「アレな〜人によってこんなに趣向が違うのか〜とか。いやいや勉強になったわアレは」 「ぜ、全部見ちゃったんですか!男の勲章!全部!!」 「あははは、勿論。衝撃だったな〜。銀時んとこから見つけたのはSMプレイものだし、兄ちゃんとこから見つけたのは兄妹相姦ものだし」 「えええええええ」 「他にも奥さんモノとか、凌辱モノとか淫乱ものとか?…RPG系とかもあったな」 「ええええええ」 思い返せば、色々と見た気がする。 男になってくる〜と女遊びにほとんどの人が出掛けて行った日。 暇だからと掃除してた時に見つけた多くの本やDVD。 あまりの衝撃に全部見た記憶がある。 ついでに一緒に留守番してた人達とガン見して、語り合った。 このシチュエーションはない、とか、この格好はエロイとかムラムラするとか。 「あはははは面白かったな〜。見てたときに女遊びに行ってた奴らが帰ってきて、大騒ぎになったっけ」 「そりゃそうでしょうね…隠してたのがバレたってのもあるでしょうし、さんに見られたってのもあるでしょうし」 新八は青ざめながら、男たちに同情する。 男の勲章を、あくまで女であるに見つけられ、それに思いきり見られたとなっては慌てるに違いない。 しかも女遊びの後だから尚更だろう。 逆には思い出しながらのためか、笑いながら口を開く。 「特に兄ちゃんが『妹に何見せとんじゃーっ!!』って大憤慨だったけどな。でも兄ちゃんのも見てたと分かったら銀時のせいにしてたなアレ」 「オイィィィお兄さァァん!」 「アハハハ」 帰ってきた仲間が大慌てする中、兄は己のことを棚の上に上げて憤慨していた。 そしてフォローするべく、大慌てでに理由をつらつらと述べていた。 これは違うんだ、とか。 俺にはお前がいればいいから!とか。 だけどちょっと男的な意味で手出しただけだから!とか。 そして人に擦り付けたりとか。 開き直っていた人物もいた。 「アハハハ、ほんと、懐かしいや」 一体何がダメだったのか分からない自分にとっては、ただ皆が大慌てする様を見るだけ。 変なところで喧嘩が勃発しているのを見るだけ。 開き直った仲間が溜息吐くのも見るだけ。 でもそれは 笑えるぐらい楽しい時間だった 「…というわけで、あんま真剣に掃除しなくていいからな。見たかったら頼めば見せてくれるって。銀時だし」 「いや、別に見たいわけじゃないんでいいです」 「SMじゃないってこと?新八はどんなんがいいの?」 「いや、僕は普通にノーマ…って何言わせるんですかァァァ!!!」 「アハハハ、残念。もう少しだったのに」 「掃除機取ってきます!!」 「あいよ〜」 ドカドカと大きな音をたてて、新八が掃除機を取りに行く。 からかわれたことに気付いていたのが、憤慨した様子で。 そこに銀時と神楽が「うるさい!」と蹴りやら拳やらをお見舞いしているのが良く見える。 過去、あんな感じだったな、とはクツクツと笑った。 そして何事もなかったかのようにハタキを動かす。 そんな日もある、午前中。 |