「おい悟空、本当にこっちなんだろうな」


「うん!こっちから血の匂いがする!」


「マジかよ…まだ女も口説いていなけりゃ酒も飲んでないっての」


「はいはい、今は走りますよ」



誰もいなくなった町の通り。
暗闇と化したそこを、四人の青年が走っていた。

先程居た飲食店で四人は楽しく美味しくご飯を食べるはずだった。
バイトらしき銀髪の少年にオーダーを頼んで、雑談を開始したとき。
その少年が入り口へと迫り、外の様子を伺うところを法衣を纏った金髪の青年は煙草を吸いながらじっと見ていた。


少年の瞳が鋭くなり、すぐさま店長を呼ぶ。
その姿に、何事かが起こったとすぐに予想をたてて、青年は他の三人へと目配せする。
彼らもすぐにそれを察して視線をその少年へと向けていた。

厨房へと入っていった少年はすぐ様、エプロンを脱ぎ捨てて店を出て行った。
同時に店長は、他の店員と共にお客の避難を誘導し始めたのだ。



(妖怪か…?)


この様子だと間違いない。
一応他の店員に確認を取ると、何やら金髪の青年の眼光に恐ろしくなったのかすぐに説明をし始めた。
他のお客に動揺が広がらないように、聞こえないようにこっそりと。



「チッ……妖怪が出たなら出たとさっさと言えばいいものを…」


「俺も三蔵の意見に一票だね」



金髪の青年に紅髪の青年が賛同するように片手をあげる。
何やらどうでも良いかのように走っている様子は、まだ体力に余裕があるようだ。
まるで、その金髪の青年…三蔵と呼ばれた彼とは正反対である。



「しょうがないですよ、お客を動揺させないためのお店側の対応だったんですから」



片目に眼鏡をかけた青年が、優しく微笑みながら隣を走る。
彼もどうやら体力に余裕があるらしい。
その様子に、三蔵はチッと舌打ちをした。



「……近い!あっちだっ!!」



三人の先頭を走っていた少年がビシッとある方向を指し示す。
四人は更に走りを速くした。


星の見えない空と、暗い道。
境目の分からぬ闇の空間。
冷たい夜風に血の匂いが混じりだす。


四人はピタリと立ち止まった。

目に映ったのは大量の妖怪。
数十匹はいるだろう。


その目の前にはどこかで見たことのある少年の後姿があった。
光もないこの空間で、銀の髪がゆらりと揺れた。



「!アイツ、さっきの店の!!!」


少年が最初に声をあげる。

沢山注文をあげたときに見た、珍しい銀の髪。
自分と同じくらいの身長と歳。
なんとなく親近感が湧いた少年が、今妖怪達の目の前に佇んでいる。



「おいおいおいおい、ナニやってんのよあのお子ちゃまは!」



紅髪の青年もついつい、声をあげる。
ただの少年が妖怪達と対峙している様は、異様だ。
その隣ではモノクルをかけた青年と法衣を纏う青年の顔が歪むのが分かる。


一瞬即発。
妖怪達が襲いかかろうとしているのが空気で分かる。



「チィっ…面倒な…」


「三蔵!俺行くからなっ!!」


「俺もいっちょ、行ってくるわ!」



三蔵が舌打ちしている間にも、少年はすぐに足を動かした。
手にはどこから出したのか、棒のようなものが握られている。
紅の髪の青年も、いつの間にか武器を両手に握って走っていた。



「三蔵、僕たちも行きましょう!!」


「……っ分かってる!行くぞ!!」



もう一人の青年に急かされて、法衣の中から銃を取り出す。
遅れるように、彼らはまた妖怪の集団へと足を速めた。







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