午前、午後が終わったら



また今日も一日お疲れ様でした












「…ふへぇ……」


「お疲れさん、


「うぉ、うぉ疲れ様です不二先輩…海堂先輩もお疲れ様です…」


「ったく、これ位でみっともねぇ…」


「う…(返せない…)」



時間は刻々と過ぎ、練習は終了。
今は夕方だ。

夕焼けの光を浴びながら、片付け。
昨日は動けなかったが、今日は午後に技術練習を持ってきたためか動ける。
だが、へろへろなのは確か。
海堂に窘められるも、言い返せない。
これが事実であるからこそだ。



「でも今日はしっかり片付け出来るから、嬉しいです!!」


「昨日のでヘバってんのが情けねーんだよ」


「あう……こ、これからです!これからヘバらないようにするんです!!」



そう、今はヘバっても、次にヘバらなければいい。
筋力、体力がないからこそ、トレーニングで伸ばせばいい。
まだそれで、伸びることが出来るのだから。
それこそ、一日中テニス漬けでもテニスの片付けが出来るぐらいに。



「…フム、なら用のトレーニングメニューを作ってみるか?」


「ほえ?」



ガッツポーズをするの後ろからにょっきり出てきた人物。
声の低さ、そして影の大きさから分かる。
振り向けば、思った通り、逆行を背負った人物がいた。



「乾先輩…」



眼鏡がキラリと光り、手の中にあるノートとシャープペンシル。
何故それを持って片付けが出来るのか分からない。
が、今はそこにツッコミを入れる時間ではない。
背の高い彼を思いきり見上げると、ニヤリと不気味な笑みが待っていた。



「海堂のメニューを作ったのは俺でね。…だが、がそのメニューを毎日こなせる確立は2%だ。…海堂とは色々違うからね」


「そ、それはアレですか、やっぱり俺の体力とか筋力が…」


「ああ。それに身長とか体重とか、その他諸々だな」


「あう…」



身長と体重まで言われればどうしようもない。
確かに海堂とは何もかもが違う。
彼と同じメニューをこなせるわけがない。
こなせたとしても、無理なメニューは身体を壊すだけ。
が少しだけショックを受ける中、乾は淡々とノートを捲り、口を開いた。



の場合、少しずつ体力と筋力を伸ばす方がいいだろう。ランニングメニューも筋トレメニューも少しずつ増やした方がいい」


「は、はぁ…」



いきなり沢山のメニューをこなすより、少しずつ増やしていく方が良い。
ダイエットにしろ、トレーニングにしろ、だ。
乾がトレーニングメニューをノートに書き込むが、からは見えない。
先程不二のメモを覗くかのように、ピョンピョンと跳ねる。
が、何せ不二より乾の方が身長が高い。
見えそうで、全く見えない。



「そしての技術面と素早さという長所を伸ばすためのものも入れなければいけない」


「そう、です、か!?」


「ああ。地区予選まで時間がないからな。…短期間で少しでもあげるには……」


「う?う?(見え、ない!計、算、して、るの、かな!?)」



ガリガリガリ…と何か書いているのだが、やはり見えない。
恐らく乾は紙の上で、のデータを考えつつ、計算しているのだろうが。
勿論その計算式は誰かに分かるようなものでもない。
彼の持論で出来ているのだから。



「オラ!テメェ、片付けサボってんじゃねぇ!」


「はははあい!!すみません!すみません!!」



話しかけてきた乾に気を取られているうちに、片付けが進んでしまっていた。
海堂からのお叱りに、の背筋がピンと伸びた。
乾が怒られないのは先輩だからだろう。
そして、計算しているから。

乾はそれを見て、フム、と顎に手をかけた。



「今日、と海堂と部屋が同じだったな。…戻ってから説明しよう。それまで、片付けに専念した方が良いだろうからな」


「は、はい!じゃあ、また後で!!あ、不二先輩!そのネット俺運びます!」


「ああ、じゃあ頼もうかな」


「はいっ!!」



後輩はしっかり何ごともやっておかなくては。
先輩の持っているネットを運ぶ。
傍では手伝ってくれている一年トリオも色々と片付けていた。



「ったくぅ、昨日は片付けしなかったんだから今日はちゃんとやれよな、!」


「へへ…はーい、堀尾隊長!」


「堀尾君って、調子にノりやすいよね…」


「うん…でもそれにノる君も凄いよね…普通ヒくよ」


「ちょっと天然入ってるよね…君」


「あ、カツオ君もそう思った?」


「こらー!カツオ、カチロー!!そっちの片付け止まってるぞー!!」


「「はいはーい」」



そう、にとっては特にハナにツくわけでもない。
堀尾の調子の良さは一際目立つ。
普通は最初戸惑うものの、慣れていくうちに、堀尾への扱いは酷くなっていくもの。
(というか、どうでも良いのだ)
(流すのが一番良いのが分かっているため)

が、はそれを笑って受け取るのだ。
天然が入っていると思われてもしょうがない。



「…というか、本当に天然なんだろうけどね」


「その確立は100%だ」


「クスッ…そうなんだ」



不二と乾の会話は彼らには届かない。
てきぱきと片付けをしていく。

ちなみにこの片付けが終わった後、部屋の中でヘバってベッドに倒れるがいたという。













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