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真っ暗な空間に、星屑が散らばっているような空間。 そう、例えるなら宇宙のような空間。 多くの光が流れ星のように流れていくなか、も負けず劣らず流れていた。 「うぉおおおおおおおおおぉぉぉおおぉぉぉぉおおおぉぉぉおおっ!!!!!!!」 違った。 負けず劣らずでもなく、まさしく流れ星よりも勝っている。 は前から後ろに流れる光を見ながらもそれを堪能する余裕もなく目を回していた。 それもそうだ。 先程からこの空間を移動しているが、真っ直ぐに飛んでいるわけではない。 上下左右、前後。 高速に自分が回転しているのだ。 スーパーボールのように弾んで跳んだかと思えば鉄棒で大回転をしたかのような動き。 右にフィギュアスケートの何十倍も回転したかと思えば後方へマット運動のように何十回も回転。 加えて流れ星をも越えるスピードだ。 まさに、人の常識を超えている。 「い、いい加減死ぬ!!!兄ぃ!!手ぇ抜きすぎだからこのワープ空間!!!」 ギャアギャアと騒いだところでその回転やスピード、そして動きは止まるわけでもなく。 逆に激しくなるばかりだ。 空間の奥に眩い光が見えたところで、それは何十倍にも増して激しくなっていた。 「ぎゃあああああああああああああああああああああっ!!!!!激しく優しく俺をイかせてくれぇえぇええぇぇえぇえぇえっ!!!?」 もはや自分で何を言っているかも認識できてはない。 は叫び声と共に、光へと高速回転しながら突っ込んでいった。 所変わって、この世界でも叫んでいる者がいた。 「ってふえてるしーっ!!!」 雨がシトシトと降る静かな庭。 そこにまさに戻ってきた、学ランと眼鏡、そして人の良さそうな顔が印象的な青年である。 青年はこの庭のある『店』にバイトとして雇われた身であった。 強制的に、ではあるが。 この『店』に慣れてきて数日。 今日の天気は『晴れ ときどき 狐の嫁入り』、いわゆるにわか雨だ。 店主である人物から、狐の嫁入りのときには『鏡聴<キョウチョウ>』ができると言われて挑戦した。 鏡を手に取り、目を閉じて。 神経を研ぎ澄ませて。 初めて聞こえてきた言葉をこれからのこととして受け取る。 この青年に聞こえてきた言葉。 それは外を通っていた子供たちの声だった。 『きょういくから…まってて』 その言葉をどう捉えたらいいのか。 青年が悩んでいると、店主は今までになく顔をひきしめた。 何事かと尋ねる暇もなく彼女…店主はすぐに立ち上がり、準備をしましょうと屋敷に姿を消す。 しばらくすると、彼女は黒を基調とした服装に着替えて戻ってきた。 その服を着た彼女の顔は真剣で。 纏う空気は凛とした、神秘的なものとなっていた。 まだ青年が戸惑っていると、耳をつんざくような音が辺り一帯に響いた。 同時に、庭に降る雨の中から、人が現れた。 今も庭にいる、少年と少女。 琥珀の瞳の少年、名を小狼<シャオラン>。 そしてその腕の中で眠り続けている少女、名を桜<サクラ>。 ただ事ではない雰囲気を纏う二人を前に、店主は青年に倉庫にあるモノを取ってきて欲しいと命令した。 雨の中から人が現れたことに動揺しながらも、すぐに返事をして倉庫へと向かう。 行く途中にマルとモロと呼ばれた二人の少女に…いや、その二人に憑いた店主に異世界の話を聞かせてくれた。 ちなみに、二人の少女はこの店に住んでいる天使と悪魔の羽のついた服を着ている不思議な子供だ。 異世界。 こことは違う世界。 そこには自分と『魂』は同じだという自分が存在する。 そして、あの少年少女はその異世界の一つから来たのだ。 そんな話を聞きながら倉庫について、取ってきて欲しいといわれたモノ…変な饅頭のような生き物を二匹抱えた。 瞬間、また耳をつんざくような音が響き渡る。 驚いた青年は店主のいる庭へと急いで戻ってきた。 ただでさえ頭はパンク状態。 心はパニック状態。 なのに庭を見れば人数が増えているではないか。 叫びたくもなる。 (こ、今度は大人が二人…) 先程来た少年少女の両脇に大人二人が挟むように立っているのが見えた。 一人は黒ずくめの、ガッシリとした男。 もう一人は白ずくめの、ひょろりとした男だ。 (さっきの音から考えると…この人たちも異世界から来た人たちなのか…) 頭も心も一杯一杯の状態でどうにか状況を理解しようと頭は動いている。 庭にいる人たちの視線を全部浴びながら、青年は店主のもとへと駆け寄る。 相変わらず庭には雨が静かに降り注いでいた。 |