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同じ歳だとか、家族構成とか。 廊下という細長い空間で、二人は話に花を咲かせていた。 未だ庭では異世界から来た人たちや店主である侑子が雨の中で待っているというのに、だ。 しかしながら、二人はそのことをすっかり忘れていた。 「そっかぁ。じゃあ君尋はアヤカシを見るから、その能力を消すために対価として侑子さんとこでバイトしてんのか」 「強制的にな」 「ハハッ!」 今の話題は四月一日が何故この店にいるかということになっていた。 実際、侑子の店には必然的にお客は来るが、バイトは決して雇わない。 店の中身が、中身だからだ。 しかし、四月一日は雇われている。 はそれが不思議でならなかったのだ。 四月一日は昔からアヤカシを視る。 アヤカシとは化け物のような、幽霊のような、とにかく奇妙奇天烈なもの。 普通の人には視えないそれをどうしても視てしまい、そして知らないうちに自分に寄せてしまう。 体質、という言葉で括られてしまうそれは、四月一日にはかなり厄介なものである。 数日前、アヤカシの一つに追いかけられていたところ、目の前にあったのが侑子の店。 その門に無意識に触ったところで、四月一日を追いかけていたアヤカシはまるで空気のように消えた。 何事かと思いつつ安堵しているといきなり身体は自分の意思と逆に、店に吸い寄せられた。 この、『対価を払えば願いを叶える店』に。 「会ったときから侑子さんは人使いが荒いし、人の話は聞かないし、強制するのなんて当たり前だし。そこらで走り回るマルとかモロとかいう子供は本当に走り回るだけだし」 思い返しても、これからのことを考えても頭を悩ませるばかり。 溜め息を吐きながら愚痴をこぼす。 本当に苦労をしていそうな四月一日の顔に、はケラケラと笑いとばした。 「とか何とか言いながら、結構楽しんでんじゃねぇの」 「どこがっ!!」 の言葉に四月一日は思い切り突っ込んだ。 全くもって楽しいとか笑えるものではない。 この店に働くようになってからは、不思議なことが沢山増えているというのに。 今だって異世界の人間がやってきて頭の中はパニックに陥っているというのに。 そんな四月一日の心を知ってか知らずか、は笑みを濃くして彼の目を覗きこんだ。 自然と目と目が合う。 いきなりの行動に、四月一日は首を傾げる。 の口はまるでスローモーションのようにゆっくりと、ゆっくりと開かれた。 「……『全ては必然』……だろ?」 ー全ては、必然ー 聞いた事のある言葉に、四月一日は目を見開いてを凝視した。 紫苑の瞳には、自分の驚いている姿がハッキリと映っている。 未だ綺麗に弧をの描く口元。 真っ直ぐな瞳は何か、強い意志を感じるかのよう。 口元は全てを悟っているかのよう。 先程とはまるで違う雰囲気を纏う。 その姿に、四月一日は無意識に息を飲む。 静寂が辺りを包み込む。 耳を澄ませば、さぁさぁと雨が静かに降り立つ音が聞こえた。 そして今更。 今更心の隅で気付いたのは、の身長は自分と頭一個分は違うということ。 「………って小さいのな」 他のことを言おうとしてそれはポロッと口から出て、しまったと思って口を閉じても時はすでに遅し。 は四月一日の言葉に、先程の彼以上に目を見開いた。 そして次の瞬間。 「君尋ぉぉおぉ〜っ!!てめぇっ!!俺の一番気にしていることをっ!!!」 折角格好つけたのにぶち壊しやがってぇっ! 憤慨して怒鳴りながら四月一日に飛び掛る。 突然の行為に四月一日は反応を遅らせながらもぎゃあと叫び声をあげる。 狭い空間の中、じゃれ合いが始まった。 (さっきは少し大人っぽく見えたのに、…子供だなコイツ!) の攻撃をかわしながらも四月一日は心の中で突っ込みを入れる。 先程自分を覗き込んで微笑んでいた顔はあんなにも大人だったのに、と心から思う。 今はこんなにも子供っぽい。 この野郎!とボディーブローを入れようとしている表情は怒っているというより、まるで猫が猫じゃらしを見つけたかのように輝いている。 (…よく分からない奴…) 先程の表情に心なしかドキドキしたのは、気のせいだろう。 四月一日はのアッパーを慌てて避けながら一人納得したのだった。 |