いきなり奇怪な行動に走るを野放しにはできない。
だが小狼と手を繋がせても、たぶん引っ張られてしまうだろう。
黒鋼が首元を引っ掴んでおくという手も、ファイが服を掴んでおくという手もあるが。



「それでも不安だということで、ただいま縄で括られております。です。何やらペットな気分です


本当にペットみたいだよ


「ありがとうモコナ!」


「褒めてねぇっ!」


「あいたっ!」



さすがに首に巻くのはダメだろうということでファイにお腹に括られている中、黒鋼からチョップの攻撃。
異様な光景だが、冷や汗を流しているのは小狼だけだ。
結び終われば端を黒鋼が持つ。

準備は完了だ。



「はい、ちゃん動いていいよー」


「よしっ!レッツラゴー!行くぜ俺の好奇しグフゥッ!!


「あはは、早速縄が役にたったねぇー」


「す、少しは大人しくしようよ…」



早速の効果を示した縄。
走り出したを縄を持つ黒鋼が引っ張り、迷子を防止。
さすがの小狼も溜息が出る。

すると、通りすがりの女子高生がクスクスと笑っていくのが見えた。



「笑われてっぞ、おめぇ」


「黒鋼…まだまだ甘いぜ。彼女たちの視線は俺じゃなくモコナに注がれていた!間違いない!!」



黒鋼の言葉にはフフフと笑ってみせた。
確かに視線は小狼の頭の上にいるモコナに注がれている。



「俺ではなく、モコナが笑われている!!」


「モコナもてもてっ!」


「そう、モコナがもてもてっ!!


「モテてねぇよっ!」



しっかりとツッコミが入った。
やはり黒鋼は自分に正直であり、ツッコミが得意だ。
とモコナは笑いを抑えられずにケラケラと笑いだした。



「らっしゃい!」



ほのぼのとした空気になったとき、近くにいたハチマキをしたおじさんが声をかけてきた。
笑顔が素敵な中年の男性は上から下から白い不思議な服。
がん?と首を傾げて見つめると彼はすっと赤い物体を取り出した。



「お、兄ちゃんたちリンゴ買っていかねぇかい!?」


「リンゴ?!リンゴ好き!!」


「お!本当かい!うちのリンゴはそこらとは違うよ〜!美味しすぎて感動しちまうぐらい!」



リンゴという単語にすぐ反応したのは
尻尾があったらパタパタと嬉しそうに振っているだろう顔だ。
それを黒鋼が縄を引いて押さえている。
小狼がその隣で首を傾げた。



「え?それリンゴですか?」


「これがリンゴ以外の何だっちゅうんだ!」



小狼が疑問を感じたのはおじさんが持っている物体。
真赤な色と球体が特徴だ。
にとってはリンゴ、なのだが小狼にとっては違うらしい。



「小狼君の世界じゃこういうのじゃなかったー?」


「形はこうなんですけど色がもっと薄い黄色で…」


「え?それってレモンじゃなくて?」



ファイの質問に小狼が答える。
それを聞いてが首を傾げて言葉を出した。
黒鋼も「ん?」と会話に参加してきた。



「檸檬じゃなくてそりゃ梨だろ」


「いえナシはもっと赤くてヘタがあって」


「それラキの実でしょー?」


「ラキって何?トマトじゃなくて?」


「トマトは赤くなくて…」



見事にバラバラ。
の発言によって今度はトマトとは、という議題が発展。
全員でトマトは赤い、いや黄色いと色の話に突入。
しかし、そこでおじさんがいきなり入り込んできた。



「で!いるのか!いらんのか!」



確かに店頭でずっと揉めているのが悪い。
だが、いきなりのおじさんの割り込みに小狼は大きく驚き、黒鋼も少しばかり驚いた。
おじさんの質問に答えたのは、人間ではなかった。



「いるー!!」


「え!?」


「まいど!!」



そう、モコナ。
それに驚いたのは小狼であり、おじさんは快く承諾。



「やったぁリンゴだ!!!」




喜ぶとモコナを傍らに、彼らはリンゴを手に入れたのであった。








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