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紙を見て、小狼の表情が一変。 そして、口を開いたところから混乱が始まった。 「、黒鋼、ファイ」 と、ここまでは聞き取れた。 が。 その後何を言ってるのか全く分からない。 分かるのは、焦っていることのみ。 しかし、それだけでは終わらない。 何か思案したのか、ファイも黒鋼も声を出す。 全く、分からない言葉で。 「……あれ?皆アレか?先程までのペランペランは何だったの?ボケ?これは新たなボケ?」 混乱しているのは小狼も、黒鋼もファイも同じ。 耳をトントンと叩いたり、苛々して耳をほじったり。 すら戸惑い、ボケか何かと捕らえているほどだ。 「何だよ、皆真面目にボケしやがって!俺がボケなのに!俺にツッコミやれってのか!やれってのか!?」 がギャンギャンと吼えても、他のメンバーはどうやら何言ってるのか分かっていないらしい。 困惑顔で首を傾げるだけだ。 よくよく聞いていると、阪神共和国の人たちの言葉すら分からなくなっている。 (え、なんで?俺がバカになったとかそういうオチ!?うそん!) さすがにそんな展開は嫌だ。 は必死に何が変わったのか考え始めた。 よくよく考えれば、小狼と黒鋼、ファイと阪神共和国の言葉は別々だ。 それはそれぞれ、異世界の住人だから。 では何で今まで通じていたのか。 何が、変わったのか。 皆もそれぞれ考えている。 そして、一つの決断に辿り着いたのは同時だった。 「「「「モコナ!!」」」」 今までずっと一緒にいた、マスコット的なのが、いない。 そういえば侑子のところにいたときから話は通じていた。 モコナが、常に傍にいた。 言葉は通じていたが、文字は通じない。 それが不思議だと言っていた空ちゃんが言っていたっけとは思い返していた。 しかし、言葉が通じないというのは面倒くさい。 言いたいことも聞きたいことも分からない。 せめて一人でも話が分かることができれば、他の人たちを誘導出来るというのに。 (…っと、待てよ?) そういえば。 先程がフリーダムと言ったときに、皆が分からない中小狼は反応していたような。 しかも、自分が言いたいことを、理解していたような。 紫苑の瞳を隣にズラせば、彼も同じことを考えていたのか琥珀の瞳とかち合う。 しかし、何を話せばいいのか。 英語は、苦手だし。 「……ハロー?<こんにちは?>」 とりあえず、そんなことを言ってみた。 もっと他にあるはずだろうに。 しかし、小狼は安堵の笑みを零した。 「Hello.<こんにちは>」 「うわ、発音綺麗だし!」 よりも、発音が綺麗だった。 まあこれはしょうがないとして、身振り手振りで英語で話し始めた。 「あーぜいうぇいてぃんぐ、あっと?阪神城?<あいつらは阪神城で待ってるってこと?>」 「Yes. So,we must go to there.<そう。だから俺たちはそこに行かなくちゃ>」 「あーはー、オーケーオーケー!」 紙に書いてあって分かったのは、「阪神城」と「待」の漢字のみ。 だからこそ分かる、目的。 とりあえず、そこまで行かないとどうしようもない。 「ばっと、はう?<でも、どうやって?>」 「Let me see…. Oh! I see. Please waiting for me! I am going to buy the mup of this area.<うーん…そうだ。ちょっと待っててくれる?この地域の地図を買ってくるよ>」 「オーライト!あいむうぇいてぃんぐふぉーゆー。<わかった!待ってる>」 話がどうにか通じているために、はヒラヒラと手を振った。 小狼も頷いて地図を買いに先程通った本屋へと入っていく。 ここまで通じると、頭が良いんじゃないかと勘違いすら起きてくる。 「…ってか俺天才じゃね?」 むしろ、テストの問題がいけなかったのだ。 ざまぁみろ。 そんなことすら思えてくる。 ちなみに話が分からないために、小狼が何故本屋へと一人で走っていってるのか分からない大人二人。 それにさえ優越感だ。 「もーすぐ戻ってくるからな〜」 と言っても通じないだろう。 は鼻唄を歌いながら二人の手を握って振り始めた。 心配ないと言うように。 訳が分からずとも、ノってくれたのはファイ。 一緒に笑顔でブンブンと手を振ってくれる。 黒鋼は嫌そうな顔をして動かそうとしてくれない。 というか、握り返してもくれない。 というか、無理にでも離そうとしている。 「なんだよ〜言葉通じなくてもノリが悪いな〜黒鋼は〜」 「馬鹿●×△!?」 馬鹿という単語が聞こえた気がするが、は無視して意地でも手を離さなかった。 このまま迷子になったら困る、というものだったが。 実際いつも迷子になるのはである。 「!」 「あ、小狼〜」 小狼が地図片手に戻ってくる。 とりあえず近くの公園で、それを広げることにした。 阪神城は地図の真ん中。 自分達のいる地域は、そこらに書いてあるものを見ると、端の方。 歩いて行くには遠そうだ。 「いっつそーふぁーおんふっと、いずんといっと?<歩くには遠すぎじゃね?>」 「Yeah, you are right. But we can go to 阪神城 by a subway.<うんそうなんだ。だけど、おれたちは地下鉄で行くことができる」 「さぶうぇい?<地下鉄?>」 地図には多くの線路がある。 道路ではない、何かの乗り物のようなもの。 よくみると、それは地下鉄の線路のようだ。 それは端であるこの場所と、阪神城を繋いでいる。 「おー!おーけー!そー、れっつごーとぅーざ、さぶうぇい!<あー!わかった!じゃあ地下鉄にレッツゴー!>」 「All right. This way.<わかった。こっちだ>」 気合入れに叫ぶと、小狼は地図を持って指を指した。 先頭を切って歩き出す小狼に、が続く。 手を繋いで、黒鋼とファイを引っ張る。 真剣な小狼に対し、は笑顔で一杯だ。 「英語なんてできねーっつったの誰だよアンチクショー」 英語で会話が出来て大満足。 しかも分からない大人がいることに対する優越感。 スキップしながらそんなことを言うと、小狼が小首を傾げた。 「What?<なに?>」 「ナッシーング<べっつにぃ?>」 偉く上機嫌なを見ながらも、小狼は歩を進めた。 前から見ると、下手したら家族に見える三人。 子供のようにはしゃぐが大人二人と手を繋いでいるからだ。 小狼はそんなことを思いながらも、地下鉄の駅へと辿り着いた。 ここまでは順調。 しかし、小狼はここで戸惑った。 切符を買わなくてはいけないらしい。 が、そこにあるのは自動販売機。 文明機械ともいえるそれを、小狼は知らない。 勿論、ファイと黒鋼が知るわけがない。 切り札は。 「…、Do you know how to use this machine?<、この機械どうやって使うか分かる?>」 だ。 さも当たり前のように買っていく乗客たちを見ながら、は目を瞬かせた。 自動販売機。 これは奇跡的にも、の世界にあった。 ニィと笑う。 「いえすあいどぅー!!あいうぃるばいいっと!そー、ぷりーずぎぶみーまねー。<できる!俺が買うから、お金ちょーだい>」 両手を差し出せば、小狼はほっとして財布を渡す。 ガマ口のカエル。 は上のボードで、阪神城までの料金を確かめる。 「…大人二人に子供二人〜」 年齢的には大人四人となるのだが、この際どうってことない。 小狼とは見た目子供だし、ここは子供料金で乗り切りたくもなる。 無事に四枚の切符を買い、それぞれに渡す。 そして、自動改札口。 は見本として、先に切符を機械へと入れた。 小さなドアが開いて、出てきた切符を受け取るだけの行為。 「レッツトラーイ」 ウキウキとしていると、真剣な眼差しの小狼。 どうにか地下鉄に乗ることに成功した四人はただただ、阪神城へと向かっていくのだった。 |